日米を結ぶオープンイノベーションの架け橋になれ! 「Scrum Connect Online」始動

オンラインプラットフォームで日本企業と海外スタートアップをつなぐ

TOP画像:オンライン取材で語り合う対談者

日本企業と海外スタートアップのオープンイノベーションを支援するスクラムベンチャーズ(米国シリコンバレーと東京を拠点とするベンチャーキャピタル)が、日本の大企業とスタートアップをつなぐオンラインプラットフォーム「Scrum Connect Online」の提供をスタートした。本サービスは、日本ユニシスの米国法人NSSCとの共同開発によって生まれた新サービス。この協業の背景には、「北米の現地ベンチャーと日本企業の架け橋となるプラットフォームの提供により、日本企業のグローバルなオープンイノベーションを促したい」との思いもあった。今回は、スクラムベンチャーズ、NSSC双方の担当者に開発プロジェクトを振り返ってもらい、その未来展望を伺った。

*本記事は2020年4月にWeb会議ツールにより日米間で取材したものです

日系企業の共通課題は、
北米の最新情報を日本へ届けること

――共同開発のきっかけについて教えてください。

写真:スクラムベンチャーズ 大嶋紗季氏
スクラムベンチャーズ
Business Development Associate
大嶋紗季氏

大嶋 日本ユニシスグループとは、弊社が設立したファンドに出資いただくなど、これまでも良好な関係を築いてきました。

スクラムベンチャーズは、2013年に創業しサンフランシスコ(シリコンバレー)と東京を拠点とするベンチャーキャピタルです。モビリティやFintech(フィンテック)、IoT、VR、コマース、ヘルスケアなど幅広いカテゴリーの革新的なスタートアップに投資を実行しています。また、合わせて大企業のオープンイノベーションを支援する「スタジオ事業」を行っています。この事業では、各業界を代表する大企業パートナーの持つ優れた技術や人材を最大限活用し、世界中のスタートアップとのコラボレーションを行っています。これらは事業創出、アクセラレータープログラム、M&A、出資など形を問わず企業ごとに最適な形を提案、実行していく取り組みです。

今回は、弊社代表の宮田が温めてきたオンラインプラットフォームのアイデアを、NSSCの皆川社長に相談したことがきっかけです。双方でディスカッションしながら、アイデアを具体的な絵に落とし込んでいきました。日本ユニシスグループは、弊社事業の内容を深く理解していただいており、幅広い業界にサービスを提供してきた知見があることからスムーズに話が進みました。2019年中旬には本格的にプロジェクトがスタートしました。

写真:NSSC 岸本剛海
NUL System Services Corporation(NSSC)
岸本剛海

岸本 日本ユニシスグループとしても、もともと情報発信のためのプラットフォームを持ちたいという思いがあったところに、日米間のオープンイノベーション支援しているスクラムベンチャーズから相談がありました。「私たちの開発力が、スクラムベンチャーズのキュレートされた情報に組み合わされば良いものが作れる」と強く感じました。当時、私は日本ユニシスからNSSCに着任したばかりでしたが、SEとしての経験を生かしてシステム開発を担当することになりました。

――なぜこうしたオンラインプラットフォームが必要だと考えられたのでしょうか。

岸本 NSSCもそうですが、シリコンバレーには多くの日系企業がリサーチ拠点を開設し、北米の最新情報を収集して、日本の本社に情報発信する活動を展開しています。リサーチ拠点の皆さまは、どう情報を収集し、どう発信していくかについて常に悩みながら取り組んでいます。同じ悩みを持つ私たち自身が情報発信のためのプラットフォームを構築することで、他の日系企業の役に立てるのではないかという点が大きかったと思います。

大嶋 弊社は2013年から投資活動を開始して、2017年からは日本の大企業と海外のスタートアップのオープンイノベーションを支援するスタジオ事業を展開し始めました。そこで実践してきたプロセスを一気通貫の形で実行できるサービスをオンライン上で提供したいというのが発想の原点です。大企業とスタートアップをつなげることで面白い化学反応がうまれます。しかし、海外のスタートアップ情報は少なく、言語の壁もあります。これらの課題を解消する方法を模索していました。

「双方向性」と「情報共有範囲の設定」で、
より活発な意見交換の場に

――「Scrum Connect Online」の特徴はどんなところにあるのでしょうか。

大嶋 「Scrum Connect Online」では、スタートアップの情報収集からオープンイノベーションの相手先企業の開拓までを一気通貫で支援します。年間5000社以上のスタートアップを見ているベンチャーキャピタルの目線から、気になるニュースを日々ピックアップし、日本語の解説付きで最新情報を配信しています。また、厳選された2500社のデータベースから、さまざまな領域の注目スタートアップをご覧いただくことができます。

加えて自分の興味があるテーマや分野ごとに、スタートアップをリストで管理し、社内で共有できます。データベース上にないスタートアップを追加することも可能です。

画像:「Scrum Connect Online」の特長
「Scrum Connect Online」は、シリコンバレーのさまざまなニュース、スタートアップの資金調達などの情報にアクセスし、スタートアップと実際につながることができるプラットフォーム。スタートアップに関する議論や紹介などもオンラインで行うことが可能。より効果的にスタートアップの情報にアクセスできるよう工夫されている
画像:「Scrum Connect Online」の実際の画面例
上記は「Scrum Connect Online」の実際の画面の一例(英語版)。シリコンバレーのさまざまなトピックスを知ることができる

――システム的に苦労されたのはどんなところでしょうか。

大嶋 注力したのは、インタラクティブなコミュニケーション機能です。これまでもスクラムベンチャーズは自社ブログや寄稿記事などで情報発信を行ってきましたが、「Scrum Connect Online」では双方向性を重視したいと考えました。何度も議論を繰り返しながら、岸本さんと課題を一つひとつ詰めていきました。

岸本 大変だったのは、「情報の共有範囲の設定」でした。当初は、「ユーザー全員が情報共有すること」を前提に進めていました。しかし、新規ビジネス開発のために、オープンイノベーションの相手を探しているわけですから、全情報について会社を越えてすべてのユーザーに公開することはできません。ですが、ユーザー企業が注目するスタートアップ企業の情報や、そうした企業に対するコメントをデータベースに追加する機能は必要です。このため、「それらを自社だけの情報にするのか」「プラットフォームで共有するのか」について柔軟に個別設定ができるようにデータ構造を考えました。日本企業の商慣習に即した上で、使い勝手の良さをいかに向上するか、システム面でこのバランスをうまく取ることに苦労しました。

大嶋 そうですね。日本企業の商習慣に即した上で、皆さんが活発に意見交換できる場となるように、ユーザー目線を意識した提案をいただきました。

岸本 これまで私は、SEとしてお客さまの利用する基幹系システム開発を主に担当してきました。この中では、お客さまからいただいた要望を、いかに実現し、実装するかに注力してきました。しかし、今回は「自分自身がユーザーとして使うことも強く意識し、どうしたら使いやすくなるだろうか」という視点から、積極的に提案させてもらいました。開発者目線とユーザー目線の両方の立場で取り組んだことは、自分自身にとっても大きなチャレンジでした。

チャンスを広げ、新たなイノベーションを生む、
オンラインプラットフォームに期待

――期待される効果についてはどうお考えですか。

写真:日米間をオンラインで結んだWeb取材の一幕(2020年4月)
日米間をオンラインで結んだWeb取材の一幕(2020年4月)

大嶋 現在、25社ほどにご利用いただいておりますが、米国のベンチャーキャピタルの洞察を日本語で読めることにメリットを感じてもらっているようです。また、コメントの共有範囲を社内とオープンに分けられるところが便利だという感想をいただいています。リモートコミュニケーションが必要不可欠な現在、オンラインツールの価値はさらに高まっていると感じています。

 

岸本 今回のパンデミックは、経済の低迷を招く大変な事態ではありますが、見方を変えるとチャンスでもあります。これまでオフラインでの一対一でのコミュニケーションにこだわっていた人たちがオンラインで情報を収集することに慣れてくると思うのです。バーチャルとリアルを行き来して、それぞれの良さを最大限に活用できるような仕組みが今後求められるようになるのではないでしょうか。それをいち早く提供していきたいと思っています。

――今後の展望について教えてください。

大嶋 現在は、日本の大企業を対象にしていますが、将来的には、多言語対応を行い、世界中のスタートアップにもプラットフォームに参加してもらって、オンラインで投資やパートナーシップのディスカッションが生まれる場にしていきたいと考えています。

岸本 今回、「Scrum Connect Online」を共同開発させていただきましたが、その開発基盤は、「rickDoor」プラットフォームとして5月からNSSCプロダクトとして提供を開始します。主に日米の会社間での情報連携に悩まれている企業様に、ご利用いただきたいと思っています。私にとって、一般のユーザーが利用するプロダクトを一から設計し、ベトナムのグループ企業ともシステム開発について、オンラインで随時やり取りを行いながら全体のプロジェクト管理を行い、ビジネスをアクセラレートするプラットフォームを構築していく経験は刺激的でした。

今後は、「Scrum Connect Online」サービスや、「rickDoor」プラットフォームの改善を続け、より良いものにすることで、多くの企業に活用され、それが他社との協業の機会を広げ、そこから新しいビジネスが誕生することを楽しみにしています。

Profile

大嶋 紗季(おおしま さき)氏
Scrum Ventures Business Development Associate
2018年、Scrum Ventures入社。サンフランシスコ勤務。大企業とスタートアップのオープンイノベーションを支援するスタジオ事業部門に所属し、既存プログラムの運営や新規プログラムの立ち上げに従事。各プログラムで培った日本企業とスタートアップをつなぐ経験を生かし、2019年よりScrum Connect Onlineの立ち上げに従事。UCサンディエゴ大学院修了(MBA)。
岸本 剛海(きしもと たけみ)
2007年、日本ユニシス入社。官公庁や公共系担当SEとしてアプリケーション開発に従事。2019年よりNSSCに出向し、シリコンバレー駐在。Scrum Connect Onlineの開発を担当。

NUL System Services Corporation(NSSC)について

写真:NSSCの社屋風景

NUL System Services Corporation(NSSC)は、シリコンバレーを中心に、新情報技術の収集と事業機会発掘を行う日本ユニシスグループの海外リサーチ拠点です。2006年にシリコンバレーオフィスを開設して以来、北米を中心とした各種パートナーと連携し、日本ユニシスグループに対して情報発信を行っています。

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