社内外のメンバーで「チーム」をつくり社会課題解決にチャレンジ!

2019年度日本ユニシスグループ「アイデアソン&ハッカソン」開催

オープンイノベーションに注目が集まる中、各企業が主催するアイデアコンテストや技術交流のイベントが数多く見られるようになった。日本ユニシスも、グループ企業を中心にしたアイデアソン&ハッカソンを毎年開催している。その歴史は比較的長く、2019年度で第6回を数える。年々その規模が拡大してきており、今回のスローガンは「未知の仲間とともにSDGsからイノベーションを創出し、世の中をより良く変えよう」と題して昨年11月に開催された。多様な背景を持った人が出会い、協力して取り組んだ今回のアイデアソンとハッカソン。コラボレーションによって、現場の声を踏まえたアイデアが具体的なサービスとして形になっていく過程を参加者一人ひとりが実感できたイベントとなった。 

SDGsのテーマに挑戦
初めて外部からの参加者も

SDGsとは、国連が定めた2030年に実現するゴールのことで、持続可能な世界の実現に向けて17の具体的な目標が設定されている。今回、その中から目標3の「すべての人に健康と福祉を」と目標8の「働きがいも経済成長も」の2つのテーマを選定。各テーマに対して8チーム、計16チームがアイデアを出し合い、プロトタイプの開発にチャレンジした。

アイデアソンの会場のいたるところで、参加者が自由闊達に生き生きと意見を交わしていた。

日本ユニシスの秋の恒例行事となったアイデアソン&ハッカソン。今回、初めての試みとして、アイデアソンにおいては日本ユニシスグループの社員以外の顧客企業や、パートナー企業からも参加メンバーを募った。スローガンに掲げた「未知の仲間」には、日ごろから社内で顔見知りの人や取引先の人でない、まったくの初対面の人たちがこのアイデアソンで集い、意見を交わし合うことで生まれる発見や価値創造への期待が込められている。

イベントの全体スケジュールを確認しておくと、次のような流れになる。まず、2019年9月に参加者を募集し、10月にチームを発表。そして11月にアイデアソンを開催。次に、アイデアソンの場で得られた各種のアイデアを、ハッカソンの中で具体的に動くサービスとしてのプロトタイプをつくっていく。では、SDGsという世界的な課題に対して、エンジニアたちがどのような発想とスキルで立ち向かったのかを見ていこう。

アイデアソンは、2019年11月上旬に都内の会場で開催された。1チームは5人または6人。全国から顧客企業15社と、パートナー企業7社、そして日本ユニシスグループ3社の合計25社、93人が参加する規模となった。アイデアソン開催にあたり、参加者は事前に与えられた課題の確認と、日本ユニシスの事務局によるデザイン思考による開発手法の講習会などを受けており、アイデアの出し方や、議論の進め方などをフレームワークに則って進めていった。また、2つのテーマに分かれた各チームは、それぞれ下記6つのSDGsに関する課題の中から1つを選び、解決策のアイデアを検討した。

◆テーマ1「すべての人に健康と福祉を」
(1) 働く人の風邪やインフルエンザ、その他感染症を防ぐ体験
(2) 飲み会における飲み過ぎ防止体験
(3) 子供のための性教育

◆テーマ2「働きがいも経済成長も」
(4) 新しく職場に来たメンバーが安心して、パフォーマンスを発揮しながら働く体験
(5) 旅行先での、その土地固有の文化の体験
(6) 自分にピッタリ合った職を得る体験

若手からベテランまで
技術者のアイデアが活発に飛び交う

各チームは、午前10時から昼食をはさんで午後3時までのワークショップで、アイデア出しとその内容をプレゼンテーションするための準備を行った。そして、午後3時からは各チームが参加者、そして審査員の前でそれぞれのチームのアイデアを発表した。これまではPowerPointでの発表であったが、今回は初の試みとして、3分間の寸劇形式でプレゼンテーションを行った。短い時間で、アイデアのすべてを表現しなければならない。厚紙で画面を模した枠をつくり、そこから顔を出してプレゼンテーションするなど、各チームはわずかな準備時間の中でシナリオや小道具を用意し、見事な演技力で知恵を絞った発表が行われた。いくつか目立った発表をピックアップする。

まずは、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に取り組んだチームのいくつかを紹介したい。(1)の「感染症を防ぐ体験」に取り組んだチームは、マスクをせずに、インフルエンザを防ぐアプリを企画。マスクでメガネが曇ったのがいやだったという思いから、「インフルエンザウイルスに近寄らなければマスクをしなくても感染を避けられる」と着想。街中でマスクをしている人が多いエリアをスマートフォン上に表示して、そこを避けて行動すればいいという発想を披露した。

一方、マスクを積極的に利用しようというチームも現れた。感染予防だけでなく、ウェアラブル端末として使おうというものだ。マスクをウェアラブルデバイスと捉えて、健康管理だけでなく情報端末として海外の人とのコミュニケーションにも使おうという発想がユニークだった。プレゼンテーションのうまさもあって会場の注目度も高く、見事最優秀賞を獲得した。

(2)の「飲み過ぎ防止」の課題を選んだチームからは、複数の店舗で自分の注文したアルコール飲料の数を合算し、自分の適量を超えそうになると教えてくれるアプリの提案があった。審査員からも「飲み会では盛り上がると自分で何杯飲んだかは管理しにくいため、飲む前に適量が分かればなおよい」など突っ込んだ意見が出て高評価を獲得。優秀賞を受賞した。(3)の「子供のための性教育」については、家庭でも気を遣う話題である子供への性教育に正面から取り組もうというアイデアもあり、家族に直接聞く前に、知りたいことを聞いて専門家から教えてもらえるSNSを考案した。

次に、SDGs目標8の「働きがいも経済成長も」に取り組んだチームについても紹介したい。このテーマを選んだチームのアイデアは、AIを使ったアプリケーションの提案が目立った。(4)の「新しく来たメンバーの働く体験」について、職場でのコミュニケーションを改善するために従業員の表情を分析し、上司が困っている部下を見つけるシステムや、逆に、別のチームからは、業務について聞きたいことがあるとき、先輩や上司の表情から、声をかけてもよさそうな人を探し出すアプリなどが発表された。

アイデアソンにおけるチーム発表の様子。アプリのイメージを具体的に伝えるため各チームのプレゼンテーションにも力が入る。

ところで、システムエンジニアの重要な仕事の1つに「進捗管理」がある。日報の中では順調と書いていても、実際は追い込まれている可能性もある。そんな深層心理を日報の文面を分析することで発見する、といった視点からのシステムの提案もあった。システムエンジニアが日ごろ直面している課題が参加者の発表を通じて垣間見える瞬間でもあった。

また、(6)の「自分にピッタリ合った職を得る体験」についても、AIの支援を利用する着想で生まれた企画が発表された。簡単な質問に答えるだけで、自分にあった職種を瞬時に提案してくれるアプリがそうだ。人気RPGで転職を行うための「ダーマ神殿」のリアル版をイメージし、「あなたはこの仕事がよろしい」という天の声が出てくる寸劇が大爆笑を呼んだ。受けの良さだけでなく、実は、紹介した職種の相性など学習によって精度が上がる工夫も含まれており、審査員特別賞を受賞した。

ハッカソンではクラウドを駆使し、
実現性の高いプロトタイプが完成

エンジニアを含む多様な職種が集まって練られ、発表されたアイデアソンの各種企画。3週間後のハッカソンにおいて、日本ユニシスとパートナー企業のエンジニアがチームを組み、これらのアイデア実装に取り組んだ。

基本的にはアイデアソンで発表した企画を実現することになるが、机上のアイデアが実際はなかなか開発できないケースもある。軌道修正をしながら、時間内に動くプロトタイプを試作するために2日間をかけて各チームが奮闘した。開発のスピードを上げるために多くのチームが取り入れたのが、クラウドサービスだ。特に「Microsoft Azure」や「Amazon Web Services(AWS)」などのプラットフォームを使い、複数のサービスを組み込む開発が多くみられた。プロトタイプはPCだけでなく、スマートフォンのアプリでつくるチームも多かった。

ハッカソンでは、アイデアソンで共有された現場の声や思いの詰まったアイデアを実際のアプリとして試作。スマホやタブレットなどで動作デモを行う参加者の真剣な面持ちが印象的だった。

AI機能も、クラウドのAPIを組み込むことで実用的な成果を出すチームが目立った。その中でも、働き方をテーマにしたアイデア実装において「顔の表情」を分析するツールとしてマイクロソフトの提供する「FACE API」を用いるチームが多数登場。狙い通りの成果を出しているチームもあった。実際にクラウドサービスに触るのは初めてというメンバーが多いチームでも、数時間学習すれば使いこなせるようになったという感想も聞かれた。

ハッカソン最終日に成果を実演し、最後に参加者全員の前で各チームがプレゼンテーションを行い、審査結果が発表された。アイデアソンと同じ2つのテーマそれぞれについて最優秀賞と優秀賞が選ばれ、そのほかに本イベントの協賛企業である日本マイクロソフトの審査員が選定する「マイクロソフト賞」、参加者全員の投票で選ばれる「いいね賞」、そして日本ユニシスの今年の新入社員が選ぶ「フレッシュ賞」の各賞が用意された。

参加者全員が投票する「いいね賞」投票の様子。

最優秀賞には、マスク要らずで暮らすために、感染の危険がある人混みをスマホの画面にAR技術で表示するアプリ「グッバイ菌」と、スマートスピーカーに話すだけで最適な職業をアドバイスしてくれる「ダーマのイチオシ」が選ばれた。ともに、難易度の高い技術の活用にチャレンジした姿勢と、それを具体化させたプロトタイプの完成度の高さが評価された。

チーム1-02「グッバイ菌」のメンバー。緊張した面持ちで最優秀賞の発表を待っていた。
最優秀賞を受賞したチーム2-07「ダーマのイチオシ」メンバーの様子。嬉しさに思わず笑みがこぼれる。

審査員を務めた日本マイクロソフト株式会社 パートナー事業統括本部 業務執行役員統括本部長の佐藤久氏は、「多くのチームがマイクロソフトのクラウドサービスを上手に使いこなしているだけでなく、一部ではサービスの改善点も指摘があり、こうした声は大変にありがたい」と感想を述べた。

最後に主催者を代表し、日本ユニシス 取締役常務執行役員CAO CDOの葛谷幸司は、「今回はお客さま、パートナー企業さまから多くの方に参加をいただき、非常にレベルの高いハッカソンだった。また今年の盛り上がりからすると、来年はこの会場ではスペースが足りないかもしれない」と挨拶した。

(写真左から)日本マイクロソフト株式会社パートナー事業統括本部 業務執行役員統括本部長の佐藤 久氏、日本ユニシス株式会社取締役常務執行役員 CAO CDOの葛谷 幸司

さまざまなバックグラウンドを持った人が出会い、協力して取り組んだ今回のアイデアソンとハッカソン。ゼロベースで考えたアイデアが、コラボレーションによってサービスとして形になっていく過程を実感できたイベントだった。

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