「川畠成道ニューイヤーコンサート2018」から広がる社会貢献の新たなカタチ(後編)

目の不自由な方にコンサートを楽しんでいただくために私たちができること

前編では「日本ユニシス・プレゼンツ 川畠成道ニューイヤーコンサート 2018」について、川畠成道氏のインタビューを掲載しました。後編となる今回は、目の不自由な方にもコンサートを楽しんでもらうための取り組みを紹介します。このコンサートには目の不自由な方および同行者の方150名をご招待しました。日本ユニシスグループの社員ボランティアおよび事務局総勢37名の運営スタッフが会場内外で誘導サポートを行い、川畠さんが演奏する名曲の数々を参加者全員が一体となって楽しみました。
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お迎えからお送りまでボランティア社員がフルサポート

日本ユニシスが川畠成道さんをオフィシャル・サポートする冠協賛コンサートは毎年1回行われており、目の不自由な方を毎回招待しています。1月21日に開催された「日本ユニシス・プレゼンツ 川畠成道ニューイヤーコンサート 2018」では、日本点字図書館公募によるご招待者および筑波大学附属視覚特別支援学校その他のご招待者を合わせた150名をご招待。サポートを希望された3組6名の方には、ボランティア社員がご自宅や最寄り駅までお迎えに伺い、一緒にコンサートを楽しみ、終演後はご希望の場所までお送りしました。また、会場内では、社員ボランティアがホワイエや洗面所などでお客さまの誘導などのサポートを行いました。

こうした活動は、日本ユニシスが企業理念に掲げる「社会の期待と要請に対する感性を磨く」ための人材育成の一環として行われています。ボランティア社員は、コンサートに先立ち社内で開催された「目の不自由な方の誘導講習」(協力:東京視覚障害者生活支援センター)や「目の不自由な方を支援するICTワークショップ」(協力:視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN)に参加し本番にのぞみました。

この地道なボランティア活動は長年にわたる継続により着実に実を結んでいます。フルサポートさせていただいたある方は、「おかげで道中に不安を感じることなく、スムーズに会場まで来ることができました。待ち望んでいた川畠さんのコンサートを心おきなく楽しむことができます」と、満面の笑みで喜びを示してくださいました。

さらに盲導犬ユーザーの方の来場数も、一般向けコンサートとしては国内最大級です。あるお客さまからは、「受け入れ体制をしっかり整えてもらっているので、安心して盲導犬と一緒に来ることができました」というお言葉をいただきました。

「音声で聞ける」パンフレットを配布

会場ロビーでは今回のコンサートでの演奏曲およびその解説を川畠さん自らの言葉で記したパンフレットの配布を行いました。

これまでも通常のパンフレットに加え、「点字」「大きな文字」「白黒反転文字」で印刷した3種類のパンフレットを配布してきましたが、直近のコンサートでは日本ユニシスグループの本業であるICTを活用し、2次元バーコード(QRコード)を携帯電話やスマートフォンで読み込むことで「音声で聞ける」パンフレットの提供も行っています。案内ちらしには、バーコードの位置が手触りですぐにわかるように、印刷ではなくシールを貼り付けるという配慮も施しました。

今回のコンサートでは、多くのお客さまに「音声で聞ける」パンフレットに興味を持っていただきました。目が不自由な方の読み書きの手段として点字がありますが、実際には点字を使える方は10%程度にすぎず、習得も容易ではありません。

あるお客さまからも、「私のように途中から視覚障がいを負った者にとって、点字を覚えるのは容易ではありません。その意味でも、音声で聞けるパンフレットはとてもありがたいです」というお言葉をいただきました。誰もがより簡単に扱えるユニバーサルデザインに基づいた、ICTのさらなる活用に期待の高まるところです。

2時間に及ぶコンサートを会場全体が一体となって堪能

満席となった会場でワクワクと胸が高まるなか、今回の川畠さんのコンサートは大きく2部構成で行われました。

第1部の最初の曲は川畠さんが20代の頃から幾たびも演奏を重ねてきた代表曲の1つである「ベートーヴェン作曲 ヴァイオリン・ソナタ 第8番 ト長調」です。川畠さんはこの曲について、「現在と過去の時間の流れやその間の自身の歩みなど、さまざまなことが思い起こされます。自分がどれだけ成長できているのかを知る、ある種の物差しのようなものと言えるかもしれません」とパンフレットに記していますが、まさにその感慨が伝わってくる素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。そして演奏は、「フランク作曲 ヴァイオリン・ソナタ イ長調」へと続きました。

しばしの休憩を挟んだ2部では、カジュアルな衣装に着替えた川畠さんが登壇。「リスト作曲 コンソレーション」「ポンセ作曲 エストレリータ」「パガニーニ作曲 ラ・カンパネラ」「グルック作曲 メロディー(精霊の踊り)」「サン=サーンス作曲 ワルツ・カプリス」といった日常生活でもなじみ深い楽曲の演奏が行われました。鳴りやまない拍手のアンコールにも川畠さんは快く応えてくださり、2時間に及んだコンサートをすべての観客が一体となって堪能することができました。

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Profile

川畠 成道

川畠 成道(かわばた・なりみち)

1971年、東京生まれ。視覚障がいを負った幼少期にヴァイオリンと出会い、音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。97年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。98年にデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開している。2017年、文部科学省の「スペシャルサポート大使」に就任。

川畠成道オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp/