「川畠成道ニューイヤーコンサート2018」から広がる社会貢献の新たなカタチ(前編)

コンサートに目の不自由な方々150名をご招待

2018年1月21日、東京・紀尾井ホールで「日本ユニシス・プレゼンツ 川畠成道ニューイヤーコンサート2018」が開催されました。川畠さんは8歳で視覚障がいを負いつつ10歳よりほとんど耳からの情報のみでヴァイオリンの勉強を重ね、1997年英国王立音楽院を首席で卒業後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開している世界的ヴァイオリニストです。日本ユニシスグループでは、川畠さんの医療・福祉・教育分野における活動に共感し、1998年のデビュー時から支援を続けるとともに、川畠さんとさまざまな社会貢献活動に取り組んでいます。そんな川畠さんに、活動の「いま」と「未来」についてお話を伺いました。

デビュー20周年はパートナーシップの歩み

――今回のニューイヤーコンサートは、川畠さんにとってデビュー20周年となる記念すべき年の最初のコンサートで、ひときわ感慨深いものがありますね。

ヴァイオリニスト 川畠成道氏

ヴァイオリニスト 川畠成道氏

おかげさまで、気づけばもう20年という感じです。1998年に日本フィルハーモニー交響楽団と共演したのが私のデビューでしたが、その当時から日本ユニシスグループにご支援をいただいていますので、私たちの関係も20年ということになります。

――この歳月を重ねるなかで日本ユニシスグループは川畠さんの単なるスポンサーではなく、固い絆で結ばれたパートナーとなりました。

そのように言っていただけると私も光栄です。今日のコンサートでも日本ユニシスグループの社員によるボランティアサポートのおかげで、視覚障がいのある多くのお客さまにお越しいただくことができました。日頃外に出るのが難しい方々にも、生の音楽を楽しんでいただける機会をつくる。そういった活動で社会に貢献できていることは、私自身にとっても大きな喜びです。

――日本ユニシスとの出会いは、川畠さんの音楽活動にも大きな影響を与えているのでしょうか。

そう思います。間接的ながら、私の音楽家としての価値観や音楽の表現も少なからず影響を受けています。もし日本ユニシスグループとの出会いがなければ、私が目指す音楽の方向性も違っていたかもしれません。

スペシャルサポート大使として新たな活動を開始

――川畠さんの新たな活動として、2017年からは文部科学省の「スペシャルサポート大使」に就任されたと伺いました。

活動はまだ始まったばかりで模索している最中ですが、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、そして、その後につながる活動として、障がいがある方々のスポーツや文化活動に光を当てた取り組みをサポートしていく考えです。

――音楽関係からのスペシャルサポート大使は川畠さんお一人ということで、期待はますます高まります。

ありがとうございます。音楽の専門家として私が個人で何かをやるのではなく、他のさまざまな分野の方々と連携することでどんな社会貢献が可能となるのか、「音楽×〇〇」というシナジーを生み出すことをより大切にしたいと思っています。音楽以外の世界のことを知る機会が増え、私自身にとっても貴重な経験となります。

――ご自身の世界を広げていくという面では、最近PCも使い始められたそうですね。

2017年の夏頃からです。視覚障がいのある周りの知人たちも積極的にPCを使っていますし、私もデジタル時代の流れに取り残されたくないという危機感がありました。実は3歳になったばかりの息子も、言葉を覚える前からタブレットを使って動画サイトなどを見て楽しんでいたりして、これは負けてはいられないと(笑)。

コンサートに先立って行われた「目の不自由な方のPCやタブレット利用に関するワークショップ」で、パソコンを操作する川畠成道氏

――実際にPCを使ってみて、どんなことが変わりましたか。

手軽に調べものができるなど、これまで知らなかった世界に触れることができ、プラスになる多くの刺激を受けています。ただ、ヴァイオリンを弾き始めるとそちらに没頭してしまうので、朝起きたら最初にPCに触れるように心がけています。

――PCを使って情報を得るだけでなく、逆に川畠さんから社会に向けて情報を発信したいというお考えはありませんか。例えばインターネットを通じたライブなども行っていただけるとファンもうれしいです。

そこまで考えたことはありませんでしたが、言われてみると面白そうですね。音楽家として、やはり演奏は生で聴いてほしいという思いがありますが、そこに至るきっかけづくりとしてICTを活用する価値は十分にありそうです。また、さまざまな方々とコラボする際にもICTは便利な道具となります。社会に貢献する音楽の可能性を広げていくためにも、私なりの活用法を模索していきたいと思います。(後編に続く

Profile

川畠 成道

川畠 成道(かわばた・なりみち)

1971年、東京生まれ。視覚障がいを負った幼少期にヴァイオリンと出会い、音楽の勉強を始める。桐朋学園大学卒業後、英国王立音楽院へ留学。97年、同院を同院史上2人目となるスペシャル・アーティスト・ステイタスの称号を授与され首席卒業。98年にデビュー。その後、英国と日本を拠点にソリストとして精力的な活動を展開している。2017年、文部科学省の「スペシャルサポート大使」に就任。

川畠成道オフィシャルサイト
http://www.kawabatanarimichi.jp/