全国16社の「災害ネット」ユーザーが集まる情報交換会を開催!

災害時の情報共有から課題解決まで。時系列で記録するシンプルな情報共有ツールの可能性

2019年6月5日、日本ユニシス本社で「災害ネット ユーザー情報交換会」が行われました。災害ネットは、今起きている状況を時系列に沿って記録することによりリアルタイムで災害状況を把握できるようにするクロノロジー(時系列)型危機管理情報共有システムで、ここにきて契約数が急増しています。その背景には企画者側の想定を超えた多様な利用形態の広がりがあります。今回の情報交換会では、その実情についてユーザー企業の皆さま同士で熱い議論が交わされました。

災害ネットの特性を見極める
中部国際空港の取り組み

中部国際空港株式会社
空港運用本部 COC マネージャー
村井勝氏

情報交換会では、各社から自己紹介が行われた後、先行事例として中部国際空港さまから活用内容が発表されました。セントレアの愛称でおなじみの中部国際空港では、空港運用業務の中心的な役割を担う「セントレア・オペレーション・センター(COC)」におけるリアルタイム情報共有基盤として災害ネットを導入。どのようなケースでその特性が生かせるのかを検証しています。

「災害ネットの使い勝手を検証するために、(1)航空機事故のように対応時間が短く、関連する部署が多いケースをはじめ、(2)不審者対応のように対応時間が短く、関連部署が少ないケース、(3)台風のように対応時間が長く、関連部署が多いケース、(4)鳥対策のように対応時間が長く、関連部署が少ないケースなど、さまざまな事象で実験を行いました」(中部国際空港株式会社 空港運用本部 COC マネージャー 村井勝氏)

上記の4つのケースを検証した結果、災害ネットは「(3)対応時間が長く、関連部署が多いケース」において特に有効であることが明らかになりました。例えば、2018年の台風21号で関西国際空港が浸水被害に遭った際、繁忙期の約1.5倍もの外国人観光客がセントレアに集中し、これまでにない対応が求められました。その際、あらゆる情報を災害ネットに集約し、関連部署間で共有することにより、無事対応できたと村井氏は振り返ります。

「当初から想定したように、災害情報の共有だけではなく、課題をフォローして解決するために使えることが分かり、日常利用に広げています」と村井氏。例えばCOCの業務日誌の情報を共有し、初動対応で完結していないものや課題解決が必要なものは、該当部署が引き継ぐといったことも災害ネット上で行われています。

16のユーザー企業・団体が集結し
災害ネットの使い方を共有

事例発表の後は、参加企業・団体による座談会が行われました。今回は、官公庁、自治体、生保、鉄道、空港、自動車、銀行、不動産、エネルギー、広告など、業種業態を越えた16社の災害ネットユーザーが集まりました。いずれも災害対応という面で力を入れている企業・団体ですが、災害ネットを使い込んでいる企業から、導入間もない企業までさまざまです。

災害ネットの力が発揮されるのは災害訓練です。これまでホワイトボードなどに書き出したり貼り付けたりしていた情報を災害ネットに集約する、という使われ方が想定されます。

3年前に災害ネットを導入し、年に1度の災害訓練に活用しているエネルギー事業者は「災害ネットによって、PC上に情報が集約され、知りたい情報を個々に掘り下げられるので、スマートに情報共有できます」と話します。訓練中に役員自身が席を立って各班を回り情報収集することがなくなり、落ち着いて対応できるようになったそうです。

情報の入力がリモートで行えるのも、災害ネットのメリットです。東京と名古屋に主力拠点を持つ自動車メーカーでは訓練の際に、取引先の情報は主に名古屋側が入力して東京側と情報を共有しています。「災害ネットを導入したことで、取り上げられる情報量が増えました。」(自動車メーカー)

災害ネットの利用を浸透させるには、各職場の人に使ってもらえるようにすることが必要と考える鉄道会社では、各職場に推進委員を設けるとともに、現場には難しいルールを設けずに、ハードルを下げてひたすら入力を促しています。「コントロール部門が情報抽出をするため、現場に入力をしっかり行ってもらうことに重点を置いています」(鉄道会社)

全国の400の物流拠点で災害ネット活用を検討している食品商社からは「どうやって社内浸透させているのか」という問いが出され、全国に拠点を展開する銀行の担当者から「当行では全国を10のブロックに分けて段階を踏んで訓練を行い、情報は本部で1度集約するという方法を取っています」と取り組みを紹介しました。

また、オブザーバーとして参加したSOMPOリスクマネジメントによる「明らかになった課題に対応するためには、実行計画に落とし込むことが必要」という意見に対して、生命保険会社から「訓練で上手く判断できなかったところについては書き出して、原因を整理し、今後の対応策まで詰めるようにしています」という報告がありました。

APIを駆使することで
用途をさらに広げていく

日本ユニシス株式会社
公共第一事業部 ビジネス三部
堀田尋史

情報交換会の締めくくりとして、日本ユニシスからの今後の展望について話がありました。災害ネットの企画者である公共第一事業部の堀田尋史は、「災害時に使ってもらうことを考え、必要な機能を絞り込みつつ、使いこなせるシステムであることは変えずに、3つの方向性を打ち出していきます」と今後のサービスの展望を語りました。

具体的には「より運用が回るための機能改善」「セキュリティに配慮した他のシステムへのデータの受け渡し」「地域継続計画の観点から地域での情報共有を担う基盤となる」という3点です。後者の2つの点で鍵となるのが、APIの活用です。

「災害ネットの機能を強化するだけではなく、つなぐ世界を広げていきたい」と堀田はAPI活用の狙いを語ります。他システムだけでなく、国や自治体、警察、消防、病院、各業界の企業ともAPIでつながることで、災害ネットをより使いやすく、意義のあるものにしていくことが強調されました。

また、終了後に記入していただいたアンケートでは、参加された皆さまから「とても満足」「満足」というご回答を数多くいただき、「訓練終了後の時系列確認を主体に使用していますが、もう少し効果的な使用方法を模索していましたが、他社では集計機能を活用していることが確認できました」(エネルギー事業者)、「今後は時系列や普段遣いの具体的な活用事例を聞きたいと思います」(生命保険会社)など、前向きなご意見をいただくことができました。

今回の情報交換会に参加されたユーザーは、いずれも社会生活の中で重要な位置を占めています。こうした企業・団体で、災害対策や事故対応が迅速かつ正確に行われることが、安心安全な社会の実現につながります。ユーザーの皆さまが強い使命感を持って日々研鑽し、努力していることが、災害ネットへの取り組みを通して実感できました。

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