「働きがいも経済成長も」――SDGsにも関係するRPA

単純作業は自動化し付加価値の高い業務へ。働き方改革を加速するRPA

働き方改革への対応が多くの企業にとっての課題となる中、人が行っていた業務プロセスをロボットで自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が注目されている。だが、社内のどの業務を適用すればいいのか、ロボットの開発はどう進めればいいのか手探りの状況といった声も聞かれる。RPAツールを提供するUiPathと、同社ツールを使ってRPA導入を社内実践しているユニアデックスの両社がRPA導入方法を解説した。

人材のミスマッチを解消するRPA

UiPath株式会社
パートナーソリューション本部
コンサルタント
宍戸健一氏

少子高齢社会の進展や出生率の低下などを背景に日本の生産年齢人口が減少している。業種によっては働き手不足が大きな課題になっているが、「日本の課題は労働人口の減少ではなく、人材のミスマッチにあるのです」。こう指摘するのは、UiPath株式会社 パートナーソリューション本部 コンサルタントの宍戸健一氏だ。

事務職の人材が過剰な一方、技術革新をリードしビジネスに適用する専門職が不足していると言われる。事務職が行っている定型的な業務をRPAに置き換えたり、事務職がRPAの知識や技術を身に付けたりして専門職へキャリア転換すれば、人材のミスマッチも解消できる可能性があると宍戸氏は見ている。

また、国連の「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」に賛同し、積極的に取り組む企業も多い。こうした中、ユニアデックス株式会社 未来サービス研究所の浅井保行は次のように話す。「業務プロセスを自動化するRPAはSDGsとも大いに関係しています」。SDGsの17の国際目標のうち「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」の3つに関連するという。

こうした「事務職から専門職へ」「働きがいも経済成長も」という動向の背景には、働き方改革を推進する企業側が抱く「単純作業はできるだけ自動化して業務を効率化したい」との思惑がある。貴重な人材を付加価値の高い業務へシフトしなければ生産性の向上や競争力の強化は望めないからだ。

日本のニーズに合わせたRPAの機能を付加

企業のRPAへの期待は高まる一方だが、本当にうまくいくのかといった懸念や、さまざまな業務の中で何をどうRPAに適用すればいいのか分からないという企業もある。従来のRPAは業務内容が比較的簡単で、大量に繰り返し処理するものに効果が発揮されるといわれてきたが、実際はどうだろうか。

宍戸氏は次のように話す。「これらは確かに効果が出やすいですが、業務に対する要求が厳しい日本の事務職の業務を自動化するには、複雑で少量多品種、かつ多様性のある処理が行えるRPAでなければ導入してもらえません」

出典:UiPath株式会社

UiPathは米国に本社を置くグローバル企業だが、日本市場に注力し、1000社以上の導入実績があるという(2019年4月時点)。そして、日本市場のニーズに応えるため、少量多品種の業務プロセスを自動化するロボットの機能追加や、セキュリティの強化、RPAツールやサポートの日本語対応などの取り組みを進めている。

そして、宍戸氏はRPAツール「UiPath」の概要と特徴を説明。業務プロセスを自動的に実行する「Robot」、自動化のワークフローを作成する「Studio」、ロボットの稼働状況などを統合管理する「Orchestrator」から構成。まず、RobotとStudioをそれぞれ1台導入してRPAをスタートすることも可能だという。

UiPathの特徴の1つは、独自のアプリケーション構造解析技術を活用し、あらゆるアプリケーションの自動化に対応することだという。Microsoft Office製品やWebブラウザーのほか、Javaなどで開発されたアプリケーションにも対応する。そして、ユーザーが使いやすい操作性を重視。GUIを使った直感的な操作でワークフローの開発やメンテナンスが容易に可能だという。拡張性について、宍戸氏は「企業やパートナーが持つAIエンジンやOCRエンジン、基幹システムと連携。既存のIT資産を生かしながら自動化に貢献します」と説明する。

非IT部門でも開発可能なRPAツール

ユニアデックス株式会社
未来サービス研究所
浅井保行氏

RPA導入の場面では、現場で働く社員の参加が重要になるが、社内の体制づくりが課題の企業も少なくない。浅井はRPAを自社導入した経験を踏まえ、次のように助言する。「部門横断のRPA推進チームを編成し、業務をよく知る現場主導でのボトムアップ型でRPA化を進めました」。全社で展開するRPAはIT部門が主導し、部門ごとに個別適用するものは現場で開発。非IT部門でも開発可能なRPAツールとしてUiPathを選定している。

また、全社共通システムと特定部門に分けてRPAの概念実証を実施。全社共通システムは、勤怠投入時間のエラーチェックや月次セキュリティ作業実施状況チェックなどに適用。勤怠関連業務は対象者の数が多く、RPAの効果が大きいという。

RPA導入で自動化が進んだ業務もある。社内SNS注意用語検査業務だ。日々、膨大なSNSコンテンツの中から注意すべき用語を検索する。人手では困難な作業だが、RPA化で80%以上の削減効果があると見ている。

そして、RPAが有効な領域として企業や部門のシステム間連携を挙げる。「AシステムとBシステムのそれぞれの投入データをロボットが集計、突合。投入データが間違っていた場合、ロボットが担当者へメールなどで通知します。ロボット開発期間は3週間程度で、導入データの集計作業が自動化され、90%以上の時間削減が可能です」と試算する。

ユニアデックスではAIとRPAを組み合わせた「帳票自動入力ソリューション」を提供。例えば注文書から契約書を作成する場合、AIでテキスト情報を解析、必要なデータを自動抽出し、RPAで業務システムなどへ自動入力する。手入力の作業に比べ、約40%の時間短縮が可能になるという。「UiPathをはじめ、AIなどに強みを持つ企業と連携しながら、働き方改革や業務効率化が課題の企業にRPA導入を提案していきます」と語った。

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