経営者が認識すべき“デジタル化の本質”

顧客企業の課題解決に向けてビジネスのデジタル化を加速する

スマートフォンやSNSなどの活用で消費者のデジタル化が進む今日、企業のビジネス活動やマーケティング活動にも変革が迫られている。経営者が認識すべきデジタル化の本質とは何なのか、企業はビジネスのデジタル化をどう加速すればいいのか――。マーケティングの動向に詳しいデジタルインテリジェンス代表取締役の横山隆治氏と日本ユニシスデジタルアクセラレーション戦略本部長の田中建が語った。

生活者とサービス提供者の接点を
デジタルでつなぐ

日本ユニシス株式会社
執行役員
兼 デジタルアクセラレーション戦略本部長
田中建

日本ユニシスグループは2018年5月に発表した中期経営計画「Foresight in sight 2020」の重点施策として「注力領域の選択と集中」を打ち出し、社会課題の解決と中長期的成長が見込まれる4つの注力領域を挙げる。その1つ「デジタルアクセラレーション」では、ビジネスのデジタル化を加速させ、経済活動を可視化することで、サービス提供者と生活者/消費者の関係性を再構築し、生活者の利便性向上と産業の活性化の実現を目指している。

デジタルアクセラレーションの取り組みをサービスの概念で示すのが「デジタルサービス空間」だ。生活者/消費者とサービス提供者の間のリアルな接点をデジタルでつなぐ。「この両者をつなぐデジタルサービス空間を顧客企業と一緒につくり、育てていきます。新サービスの創出やビジネス設計、基盤構築、サービス提供、販売促進、顧客維持といったあらゆる局面でお客さまの最良のパートナーとなり、デジタルでお客さまのビジネスを加速していきます」と日本ユニシス執行役員デジタルアクセラレーション戦略本部長の田中建は力を込める。

デジタルアクセラレーション:事業加速をもくろむ企業にとり、新サービス創出/ビジネス設計/基盤構築/
サービス提供/販売促進/顧客維持といったすべての局面において最良のパートナーとなる

株式会社デジタルインテリジェンス
代表取締役
横山隆治氏

ビジネスやマーケティング活動においてデジタル化が注目される一方、企業の情報システム部門の中にはデジタル化で何をすればいいのか分からないといった悩みも聞かれるが、「デジタル化とシステム化は全く違います」と指摘するのは、デジタルインテリジェンス代表取締役の横山隆治氏だ。

これまで情報システム部門が担ってきたバックオフィスのERP導入などはシステム化であり、デジタル化ではないという。そして、企業の顧客はスマホやSNSなどを活用してデジタル化が進んでおり、「顧客に向き合うフロントオフィスこそデジタル化が急務になっているのです」と強調する。

そこで、顧客データを管理するバックオフィス(情報システム/CRM部門)がデジタル化の司令塔役となるオペレーターとして、現場のフロントオフィス(広告/マーケティング/営業部門)の施策をデジタルデータで最適化する環境を整備する。顧客データをフロントに提供するバックオフィスと、顧客データを活用して施策を打ち出すフロントのコンビネーションがデジタル化では重要になるという。

経営者が認識すべき
5つの“デジタル化の本質”

デジタル化の影響は企業のあらゆるバリューチェーンに及び、「デジタル化の推進には経営層のトップダウンが欠かせない」と横山氏。そして、経営トップに“デジタル化の本質”を理解してもらうことが重要になるという。では、経営者が認識すべき“デジタル化の本質”とは何か。横山氏は5つ挙げる。

(1)従来のアナログ仕事こそデジタルで最適化される
アナログの仕事の進め方からデータドリブンの仕事の仕方に変えることや、デジタル化は消費者の影響が大きいことから、消費者の動向を把握することが経営者に求められる。

(2)商品視点のマーケティングから消費者ID視点のマーケティングへ
かつて事業部が縦割りで商品ごとにマーケティングを行ってきたが、ブランドを横断する消費者別のデータマーケティングが必要になる。企業のデジタル化を統括するCDO(最高デジタル責任者)を据え、CFO(最高財務責任者)などと同等の権限を与えてバリューチェーン全体でデジタル化を進めながらマーケティング活動を行うことが重要だという。

(3)デジタル化で広告キャンペーンは大きな構造変化を起こす
今後、AIを利用したデジタル広告が登場するようになると、AIが判断し消費者に応じて最適なメッセージを送ったり、ブランドごとに最適な広告キャンペーンの予算を割り振ったりするなど、大きな構造変化を起こすという。

(4)デジタル化に対応した人材育成
現場のフロントオフィスを理解し、バックオフィスのオペレーションを遂行できる人はそうはいない。そこで、自社のビジネスにとって、「どんな人材の組み合わせが必要で、デジタル化に必要なスキルセットをどう育成するか、経営者はあらかじめ考えておかなければなりません」と横山氏は助言する。

(5)企業にとってソーシャルメディアの登場はパブリックリレーションとカスタマーリレーションがオーバーラップしたということ
ソーシャルメディア時代には、企業の広報とお客さまセンターの両部門を同じ人が担当するほうがいいという。「経営者はこうした認識を持ち、デジタル化に取り組む必要があります」と横山氏は述べる。

スマートキャンペーンを強化する
実行戦略の仕掛け

フロントオフィスのデジタル化に向けた取り組みとして、横山氏は「日本ユニシスと大日本印刷が進める『スマートキャンペーン』に注目している」という。スマートキャンペーンは、全国の小売店の売り場と連動し、購買データに基づくマーケティング施策を実行するプラットフォームで、デジタルアクセラレーション戦略本部が進める「仕掛け」の1つだ。

このスマートキャンペーンを強化する仕掛けとして、デジタルアクセラレーション戦略本部ではいくつかの実行戦略を進めている。その1つが「リアルデータビジネス」だ。このスポンサーは小売店ではなく、食品や日用品などのメーカーの販促費を使い、生活者/消費者向けのキャンペーンを行う。消費者のニーズをつかみ、ニーズに合った商品の提案やサービス提供をメーカーと一緒に行うなど、「日本ユニシスグループ自身が消費行動のデータ利活用の主体となり、データに基づくマーケティングコミュニケーションの実行までも担うビジネスを展開します」と田中はリアルデータビジネスの取り組みを話す。

実行戦略1:リアルデータビジネス

実行戦略の2つ目は、従来のビジネスモデルであるシステム構築で収入を得るSIサービス受託型や、サービス提供などで収入を得るサービスビジネス型から先に進み、「ビジネスアクセラレーション型」を推進することだ。リアル、ネットを問わず、さまざまな企業の売上拡大、顧客増大の施策を提案・実行するサービスを提供し、「そのビジネスのアクセラレーションに見合った成果の一部を成功報酬としてシェアさせていただくものです」(田中)

実行戦略2:ビジネスアクセラレーション

実行戦略の3つ目はパートナーと連携し、企業の「デジタルフロント」を支援する。例えば、企業がネットの検索サービスを効果的に利用できるよう、検索エンジンマーケティングなどのWebコンサルティングや、基幹データ連携などのデータ活用サービス、サイト/SNS運営を代行するBPOサービスなどを提供する。このほか、「ロボットを活用した接客や棚卸しなどのサービスについても、まもなく事業化します」と田中は述べる。

実行戦略3:デジタルフロント

横山氏は「実行戦略で進めるリアルとネットの統合により、いかに消費者の購買を動機づけ、企業の消費者へのアプローチを支援していくか、その仕組みづくりが求められます。企業の情報システム部門などバックオフィスと連携し、フロントオフィスへデジタルデータの重要性を伝える役割を期待しています」と日本ユニシスの取り組みに助言する。

田中は「バックオフィスの領域から、フロントオフィスの領域に本格的に挑戦し、お客さまのビジネスのデジタル化を加速します」と強調する。顧客、パートナーと共にデジタル化の取り組みを強化するデジタルアクセラレーション戦略本部の仕掛けとその成果が注目される。

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